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第5回97people:有吉 秀樹さん


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有吉 秀樹さん

Hideki Ariyoshi  神奈川県茅ケ崎市生まれ 法学部卒 獨協大学経済学部経営学科 准教授

◆銀行を退職してMBAの道に。

「なぜ辞めるのか」親戚に何度も言われた。 早稲田大学法学部卒業後、当時の富士銀行(現 みずほ銀行)に就職し、下町の中小企業の融資の仕事を担当していた有吉さん。300社余りの会社の決算書をみながら、なぜ同じような規模、同じような場所で、同じような事業を行っていてもこれだけ結果に違いで出てくるのか。そんな想いをきっかけに、経営を学ぼうと考えました。

「当時はMBAをとったらコンサルティングの道に進もうかと考えていたと思います。」 そんな有吉さんが、最終的に大学で教鞭をとることになるのには、皆さんよくご存じのある方の影響がありました。大学時代のゼミの恩師 奥島孝康先生に、新設されたばかりの早稲田大学大学院アジア太平洋研究科のMBA受験のために相談に行ったときのこと。「推薦状を書いてやるから、博士までやってそれからコンサルにすすめばいいじゃないか」という一言でした。

銀行を2年で辞め、その年の9月にアジア太平洋研究科のMBAの2期生として入学。当時、注目され始めていた「ブランド価値」の計測をテーマに研究を始めます。「テーマにすぐに出会えたのもラッキーでした。運もあったと思います」と振り返る有吉さん。心理学の要素を取り入れながら、研究論文を完成させたそうです。「マーケティングの枠内におさめずに、他の学問の要素を盛り込むことで、新しいものを生み出すことができる、そんな研究スタイルは今も続けています。」

◆友人の会社を手伝って墨田区の会社のコンサルティング

2004年9月に博士の学位を取得。当時ちょうど早稲田大学と墨田区が「産学連携に関する協定」を結んだことをきっかけに、友人が墨田区でコンサルティングの会社を立ち上げたので、そこで一緒に墨田区の会社のコンサルティングを始めました。「2004年から2011年頃まで何社かのコンサルティングに関わりましたが、問題点をみつけるのは難しくはありませんでした。解決策もある程度はあるが、社内の人を問題解決に動かすこと自体が大変でした」と振り返る有吉さん。

◆教育と研究のよい循環

その後2005年9月から早稲田大学で助手を半年ほど務めた後、2006年4月に獨協大学経済学部経営学科にマーケティングの講師として着任。教えることはもともと嫌いではなかったという有吉さん。今度は教育ではなく研究でつまづいたといいます。「教育を一生懸命することで研究の種がみつかります。ゼミを一生懸命やることで、学生たちのふとした質問から気づきが生まれ、よい循環が生まれています。研究が進むごとに、授業も進化するから、毎年同じ授業にはならないのです。」 ケーススタディを使ってゼミを行っている有吉ゼミ。「高校までの勉強では正解は一つ。社会人では自分が考えて提案することが求められる。その橋渡しが、大学教育だと思っています。」

◆大学の外での活動も大切にしていきたい

今年で、獨協大学で教鞭をとるようになってちょうど10年目。「銀行を辞めなければよかったと思ったことは一度もありません。根拠はないですが、辞めるときに怖くはなかったです。自分の人生をどうマネジメントするかだと思います。」 今後も、大学だけにこもらず、大学の外での活動も大切にしていきたいという有吉さん。「今は地元の千葉県市川市の地域活性化にも関わっていて、街づくりの協議会にもたずさわっていますが、いろいろな方と話ができて楽しくおもしろい日々をおくっています。」

◆同期へのメッセージ

「どんな分野でも思いきりがんばってほしいです。がんばっている人が集まって、わくわくするような、刺激し合えるような関係の場が1997年次稲門会であってほしいと思っています。」


有吉 秀樹さん (獨協大学経済学部経営学科 准教授)


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著書:『マーケティングの新視角』 創成社 2014年 『自分の「軸」を作る セルフ・ブランディング』(編著) 中央経済社 2013年 『コーポレート・ブランド価値計測モデルの提唱』 白桃書房 2008年 『企業価値向上のマーケティング戦略』 中央経済社 2007年 『現代マーケティングの革新と課題』(分担執筆) 東海大学出版会 2005年

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