第1回97people:中竹竜二さん

中竹竜二さん

中竹 竜二さん

Ryuji Nakatake
1973年、福岡県生まれ。
(財)日本ラグビーフットボール協会コーチングディレクター。

◆早稲田大学を選んだ理由は何ですか?

 高校を出て地元の福岡大学に進学したんだけど、進学後にやはりラグビーを真剣にやりたい思いが強くなって、東京の強豪校に行きたいなと考えた。

 当時、大学ラグビー界では一番強豪だったので明治大学に行きたいなと最初に思ったのだが、明治大学はスポーツ推薦や高校日本代表のクラスでないと難しいだろうと思った時に、早稲田大学はラグビー初心者でもやる気があれば受け入れてくれるラグビー部だと聞いていたし親しい先輩も行っていたので、早稲田だったらなんとか自分のレベルでも続けて行けると考えて、早稲田大学に向けて仮面浪人した。

◆学生時代の思い出(楽しかったこと、苦労したこと)

 ラグビー部の練習は、実際に怪我も多かったし、レギュラーになかなかなれない時期が長く、つらい思い出ばかり。ただし、グラウンド以外では、同期メンバーと楽しく過ごした時間は忘れられない。部活以外では、人科の友人と仲良くさせてもらったことで、今でもいいつながりを持てているので、感謝している。

◆もう1度学生時代に戻れたらやりたいことは?

 ラグビー部に入らなかったら、アートや音楽といったスポーツ以外のこと、やりたかったかな。描くことや創作、音楽とかなんでもいいんだけど、勝ち負けに左右されないフィールドで本気で何かに取り組んでみたかった。モノを創り上げたり、感情を表現するとか、勝負というスポーツの世界じゃない分野で、没頭してみたかったな。

◆社会人時代に経験してよかったことは(楽しい、つらい何でも可)もしくは、社会人でいろいろ経験して思うことは?仕事のやりがい(ここ数年で経験して変わった考え方とか)これまでで一番心に残った仕事。

 イギリス留学をして社会学に出会ったことが、僕の人生の中で一大きな転換点だったと強く思う。その後の仕事や指導をする上での思考の基準にもなっているし、人生における判断や決断にもかなり影響しているね。

中竹竜二さん 僕が専攻した社会学は、形態的社会学というもので「物事を捉える際のさまざまな視点を持ちながら、人や社会の価値基準そのものがどのように形成されていくのかを研究する学問」。人が、なぜ、どのように、事象を捉え、価値を決めているのかを追求する難しさと面白さをイギリスで学んだ。それを学んだことで、私生活で人と会うときも、その人の価値基準がいいとか悪いとかじゃなくて、いろんな価値基準を理解することにつながり、「他」を受け入れるキャパシティが増えた気がする。特に、イギリスにいると、いろんな人種の友人がいたので、すごく毎日が刺激的だった。

 あと、特に三菱総研時代にはコンサルティングもやっていたんだけど、仕事も一生懸命やったし、若かったから毎日違う人と飲み歩いていた。まあ、若さゆえのエネルギーだったと思うけど、世の中を良くするには?変えていくには?みたいなことを、同じ世代の人間と語りあったことがよかった。その頃一緒に飲んでいた仲間の多くは、今や、有名ベンチャー企業の社長や、医者、弁護士、政治の世界等活躍している人が多い。彼らが、偉くなる前の若い時期に共に語り合っていたことが、いい経験でもあり、今も強いネットワークでつながっている理由だと思う。

◆過去の思いで残っている仕事

 三菱総研時代に教育事業で、3年かけて夢の学校プロジェクトを企画・立案・実行までしたことは、いい仕事ができたと思う。

 杉並区の中学生20人公募して、中学生と共に中学生自らが考える夢の学校プランを作って、文部省・教育委員会・区の行政にプレゼンするというプロジェクトは、将来の教育事業の基礎を築くことにつながったいい仕事だったと思う。

 中学生自らが夢の学校だったら、どんな授業で、どんな運動会で、どんな文化祭で、どんな制服になるのかを考えていく。そのプロジェクトを全て仕切っていた2年間進めたんだけど、特に、考えやアイデアを形にして行く際に、毎回いろんな分野の専門家の講師を呼んで、ワークショップを開いた。例えば、漫画家やライターを招き、夢の学校の授業を考えたり、弁護士を招き、校則を決めたり、スタイリストを呼んで、制服を作ったり。また、起業家を呼んで、ビジネスの視点を持った今までにない文化祭をどう企画実行していくにはどうしたらいいのか。そういったことを、中学生と共につくりあげていく時間は、ワクワク感があり、充実した時間だった。その時の講師の多くの方は、今も活躍しているけれど、本当に夢の学校プロジェクトでいい刺激を中学生に与えてもらったし、自分自身も2年間携わり本当に勉強になった。

◆仕事の楽しさ?モチベーションは?

 今のモチベーションは、自分の過去の経験(社会学・コンサルティング・教育事業・指導者)も活かして、自分が貢献出来ることが今の立場でできていることかな。

 仕事は人から見られない部分も多く有る。結果や表面しか見えない時が多々有るけど、仕事ってそういうものだって割り切っている。日々モチベーションをあげるのは、どう考えても僕しか出来ないことを、僕ががんばってやらないとこの組織、社会、世の中も、変わらないと思ってやっている。新しいこと、難しいことにチャレンジしていくがモチベーションをあげるのに大事かな。

中竹竜二さん 今、現職の日本ラグビーフットボール協会でやっていることは、今までにない新しいコーチングの仕組みをつくりあげているから、それが、大きなモチベーションかな。

 日本のラグビー界でも一貫指導や指導者育成の仕組みづくりは初めて出し、他の競技団体でも指導者(リーダー)を育成することに特化した仕組みはない。だからこそ、今後のスポーツ界にとって貢献出来ることは大きいと思う。その為に、まずは自分が日々学び成長することを心がけている。一番大事にしているのは、僕自身が誰よりも学び成長しなければ、人を指導する仕組み作りはできないし、人にもそういうことは言えないと思っている。

◆趣味は?何をしている時が一番楽しい?リフレッシュ出来ますか?

 今の一番楽しいことは、心身ともに自分自身をリフレッシュさせることが一番楽しい時間かな。心も体もちゃんと休ませてあげて、リフレッシュして1人いろんなことを集中して考えることが楽しく思える。

◆同期に対してメッセージ、伝えたいこと

 改めて、最近facebook等を通じてつながる人が増えた。今まで卒業してからつながっていなかった人も、つながって新たに仕事をするようにもなった。これからもっと多くの同期とつながるのかと思うと楽しみに思える。同期という縁があるので、これからも同期とはつながっていきたいと思う。

 是非、仲良くなりましょう。今後ともよろしくお願いします。

中竹 竜二さん

 1973年、福岡県生まれ。(財)日本ラグビーフットボール協会コーチングディレクター。早稲田大学人間科学卒業後、単身渡英。レスタ―大学大学院社会学部修了。
 三菱総合研究所でコンサルティングに従事した後、早稲田大学ラグビー蹴球部監督、ラグビーU20日本代表監督を務め、「監督の指示に従うのでは無く、自ら考え判断できる選手を育くむ」という自律支援型の指導法で『日本一オ―ラのない監督』として多くの実績を残す。日本におけるフォロワーシップの提唱者のひとり。
 現在は、日本ラグビー協会コーチングディレクターとして、指導者の育成、一貫指導体制構築に尽力している一方、ラグビー界の枠を超え、民間企業、地方公共団体、教育機関、経営者団体を始め各方面から、分かりやすく結果を出す講師として講演会・研修・セミナーなどへの出演依頼多数。次世代リーダーの育成・教育や組織力強化に貢献し、企業コンサルタントとしても活躍している。
 主な著書に『まとめる技術』(フォレスト出版)、『判断と決断』(東洋経済新報社)、『鈍足だったら、速く走るな』(経済界)、『人を育てる期待のかけ方』(ディスカヴァー・トゥエンティワ ン)、『リーダーシップからフォロワーシップへ』(阪急コミュニケーションズ)、『挫折と挑戦』(PHP研究所)など多数。